■ 褐色差分 ■ ■ おまけぶっかけ差分 ■
『アイリス・・・やはりお前でも駄目なのかもしれんな・・・。』
私は・・・その言葉に目の前が暗くなりました。
私の名はアイリス・アッシュフォード。
この大陸で名を馳せた・・・アッシュフォード家に妃として迎え入れられました。
その・・・アッシュフォードの名を手に入れるために・・・私はどれ程の手間を掛けたのか・・・。
この地位を手に入れた時・・・私は人生で一番の高みに登ったかのような高揚感を感じ取りました。
しかし今・・・それは絶望感へと変わり果てていました。
『世継ぎが出来なくては・・・お前を娶った意味は無い・・・。』
夫であるアッシュフォード王はそう言うと・・・私に背を向けました。
その影は長く伸びて・・・私の身体を薄暗く隠します。
それはまるで、そんな私の心をより暗く覆い尽くしてやろうかとでも言いたげなように・・・。
当然の話として・・・王は世継ぎを欲していました。
これだけの勢力を誇る国の世継ぎは・・・私たち二人だけの問題ではなく、国の責務として欲されていました。
今までに王は何人もの妃を迎え入れては・・・この言葉を発してきたのでしょう。
私は王にとって初めての妃ではない事は知っていました。
だからこの地位を手に入れるチャンスが巡ってきた時・・・私は身の幸運を素直に喜びました。
そして、今までの妃に何があったのか私には分かりませんでしたが・・・ようやく手に入れたこの地位・・・
私は何があっても王の機嫌を損ねることだけはすまい、と心に誓ったのでした。
しかし・・・その理由がこの様な事だったとは・・・。
私は一人残された寝室で・・・嫌な鼓動を刻む胸を抱えて・・・この話を打ち明けられる相手は誰か居ないかと考えました。
この城の中では・・・誰一人としてそんな話をすることは出来ません・・・。
・・・出来るとしたらただ一人・・・祖国の母でした。
私がこの地位を手に入れることを一番熱望し・・・そして援助をしてくれた人・・・。
また・・・一番知恵を授けてくれた賢い人・・・。
私はこの、ただ一本だけ垂れた糸に全ての望みをかけて・・・筆を執りました。
今までの王妃の事・・・そして私自身に問題は全く無い事・・・。
なのに何故・・・王と私の間には子供が授からないのか・・・。
最後に再び知恵を拝借する失礼を侘び・・・私は封をしました。
この手紙は・・・中身を検められてしまっては大変です。
そこで私は衣服の中へ縫いこむようにして隠しあげて・・・紛れ込ませるように祖国へと送ったのでした。
・・・これで気づかれなければ私は・・・今の地位を失うのだと思いながら・・・。
その後の数日は気疲れも甚だしい日々でした・・・。
王の機嫌を決定的に損ねないように私は何を言われようともやんわりとした態度を心がけ・・・
そして・・・あの手紙は届いたかどうか分からないままの、不安定な気持ちを抱えながらの執務はとても精神に堪えました・・・。
そんな辛さを誰にも言えないまま数日が過ぎ・・・今日、何の返事も無ければ私は全てを捨てて逃げてしまおう・・・そう思ってしまう程でした。
今までの王妃もこんな気持ちだったのでしょうか・・・。そう思いながらぼんやりと窓の外を眺めていると・・・いつもの荷馬車がやってきました。
あれから・・・何日も私を期待させては・・・がっかりさせたあの荷馬車が・・・。
「今日が・・・。今日が駄目だったら・・・。」
私は呟いて・・・その荷馬車が城内に入ってくるのを見届けていました。
その荷が下ろされるのを期待と不安の目で眺めていると・・・一つの荷が目に止まりました。
そこには見覚えのある紋章がありました・・・。
私の・・・祖国のものでした・・・。
その紋章を目にした瞬間・・・張り詰めていた気が緩んでしまって、危うくその場で倒れこみそうになりました。
母は・・・私の手紙に気付いてくれたのでした。
後は荷を検められた時にこの城の者に気付かれなければ大丈夫・・・。
そう思いながら・・・私は目を閉じて扉の向こうの気配に集中して、ノックの音を今か、今かと待ち続けました・・・。すると・・・
コツ、コツ・・・。
「き・・・来ましたっ・・・!」
思わず飛び出た声をはっと抑え、私はいつもの平静な態度を取り戻して扉の向こうの者に対応します。
『ご実家からのお届け物で御座います・・・アイリス様。』
「この紋は・・・確かに私の国のものですね・・・。ご苦労様でした・・・。」
扉が閉まる音ももどかしく・・・私はその荷を解きました。
・・・そこには私が送ったものと同じ衣服が入っていました。
「・・・という事は・・・。」
きっと同じ場所に母からの返事が隠されているはず・・・。
私はその部分の糸を解いて、中を探ると・・・ありました。
『愛する私の娘・・・アイリスへ』
と宛名された母の筆跡の手紙が・・・入っていました。
私は母の賢さを・・・そして自身の幸運を感謝して・・・その手紙をぎゅっと胸に抱きました。
そして丁寧にその封を開き・・・中の紙を取り出します。そこには・・・こう書かれていました。
『貴方の言う事が事実であれば・・・アッシュフォード王にはきっと子種が無いのです。・・・アッシュフォードは勇猛な国家。
だからアッシュフォード王は・・・その様な国の王として、自らの男性の機能が十分でない事を認めようとしないのでしょう。
ですが・・・母はその様な場合でも一つの解決法を知っています。・・・あと数日、我慢しなさい。解決の手口を・・・送って差し上げます。』
手紙はそこで終わっていました。・・・しかし私は一つの安心を得たせいか、そのまま椅子に腰を落として大きく息をつきました。
母は今日まで、私に多くの賢い導きを与えてくれました。今度もきっとそうなるのでしょう。
・・・数日。あと、数日・・・。私は・・・耐えることが出来るでしょう。・・・この手紙のお陰で。
私は待ちました・・・。母の提案を。
そして・・・その日がやって来ました。
私は一台の馬車の前でその者たちが降りてくるのを待っていました。
・・・馬車にはやはり祖国の紋章。この者たちが・・・母の言っていた『解決の手口』なのでしょうか・・・?
『アイリス様がお疲れであるとのお母上様からのお心遣いで・・・今後は、この者達をお仕えさせて欲しいとのお母上様からのご伝言です。』
「そうですか・・・。私も久しぶりに実家の空気を感じられてとても嬉しく思います・・・。」
『アッシュフォード王も、アイリス様のお気持ちが和らぐのであれば・・・とご承諾なさいました。暫くは故郷のお話でもしながらお過ごしください。それでは・・・。』
城の者は私にそう説明して、去って行きました。
そして目の前に居並ぶ数人の少年たち。少し緊張気味の顔をしています。
私は母の送ってきたその少年たちにその様な秘策が隠されているのか、ちょっと興味を持って眺め・・・声を掛けます。
「はじめまして・・・。長く馬車に揺られて疲れたでしょう?まずは私のお部屋へいらっしゃい・・・。」
緊張の解け切らない声で答える少年たち。私はそんな彼らを部屋へと招き入れます。
そして私たちだけになると・・・少年は一通の手紙と、一つの荷物を私に差し出しました。
「これは・・・?」
そこにはまたもや母の筆跡がありました。今度は何が記されているのか・・・目でじっくりとその文を追ってゆきます。
目を進めてゆくと・・・その中身は私の想像からは大きく逸れた事が書かれており・・・今度の、母のその指示には・・・わが目を疑いました。
『・・・この者たちの子種を受け入れなさい・・・。』
そこには・・・そう書かれていました。
『この若い子種ならば貴方は間違いなく子を授かります。その事実はアッシュフォード王に間違いなく吉報をもたらします。
あの手合いの男性は、現実がどうあれ・・・自らの望んだ結果さえ出てしまえばそちらのほうを事実と思ってしまうものです。
だから・・・何の疑問も持つことなく、貴方はこの者たちの子種を受け入れなさい。いずれにせよ・・・立ち止まったままでは貴方は今の地位を失うのです。
しかし、一歩でも前に進んでしまえば・・・その状況は変える事が出来ます。母を信じて・・・前へ進みなさい、アイリス。』
そして、荷物の中には・・・大胆という一言では言い表せないような衣服の数々が入っていました・・・。
その中の一つを手に取ると・・・身体を隠す部分はほとんど無く・・・肌が透けてしまうほど薄い生地で出来た衣装が・・・。
私はその淫らな服を手にしたまま、頭の中で葛藤していました・・・。
今の地位を守る事と・・・この少年たちに自ら身体を開いて・・・その羞恥の行為を行う事とを・・・。
「少し・・・あちらで待ってて貰えますか・・・?」
・・・私は隣の部屋への扉を指差して、少年たちをそちらへ向かわせます。
その扉が閉まる音が背後で聞こえて・・・私は考えを纏めて・・・そして、覚悟を決めました・・・。
部屋の中に・・・衣擦れの音だけが響きました・・・。
「・・・貴方たち・・・入っていらっしゃい・・・。」
・・・暫くの後、私は隣の部屋へ声を掛けます。
様子を窺うようにその扉が開いて・・・音を立てないように、そっと少年たちは私の方へと歩み寄ろうとして・・・
そして先程までの私の格好と異なった様子の私を見て・・・彼らは驚きの声をあげました。
『・・・あ・・・アイリス様っ・・・。』
私は普段のドレスを脱ぎ捨てて・・・母の用意した、この衣装を纏っていました。
乳房も・・・股間も・・・何もかもが丸見えで・・・私の姿の全てが晒されていました・・・。
私自身・・・見知らぬ男性にこのような姿を晒すなどという事は初めてで・・・胸の高鳴りが止まりませんでした。
それなのに何故このような大胆なことをする気になったかといえば・・・それは・・・やはり、母の言う事だったからです。
確かに・・・母の言う通りなのです。
立ち止まったままで全てを失ってしまうのなら・・・少しでも自分の力で何とか出来た方がいい・・・。
そう・・・思ったからでした。
私はその決意を胸に・・・彼らに命令します。
「・・・今から・・・私に貴方達の子種を授けなさい。私を孕ませる事が・・・貴方たちが今すべき事なのです・・・。」
その台詞を口にすると・・・身体はより汗ばみ・・・乳房をその先端までうっすらと布地から浮かび上がらせます。
彼らは、その扇情的な光景を目の前にしながらも・・・私と彼ら自身の身分の差が感じさせる、その大きな壁の前で理性が働いたのか・・・立ち止まっていました。
私は・・・そんな彼らにも一歩を踏み出して貰うために、これがただの気まぐれから出た言葉ではない事を教え込みます。
「・・・いいですか・・・このアッシュフォードの血を絶やすと言う事は、その子孫の繁栄という義務を背負って嫁いできた
私・・・アイリス・アッシュフォードの名を汚すということです。つまり、この私に子を授けると言う事は・・・祖国の名を守る事にも繋がるのですよ・・・。
だから・・・貴方たちは何も気にせずとも、私に従えばよいのです・・・。」
私の目に嘘偽りの無い事を、彼らは感じ取りました。
そして、彼らの表情から迷いが消え失せたのを見て・・・私は最後に念を押します。
「・・・分かりましたか・・・?今なら貴方たちのお陰で、この城の者も姿を見せません・・・。するのであれば・・・今だけです。」
彼らはグっ・・・と喉を鳴らすと自らの服に手を掛け始めました・・・。
私はその様子を見つめながら・・・妻が嫁ぎ先で、まさかこの様な事などしているとは夢にも思わないであろう王の事を思っていました。
「貴方が・・・私をこの様な所まで追い詰めてしまったのです・・・。アッシュフォード王・・・。」
■ おまけのぶっかけ差分です ■
|